世界遺産に認定されている端島(はしま)は「軍艦島(ぐんかんじま)」の名前で親しまれています。
長崎市には、軍艦島についての展示物が充実した軍艦島デジタルミュージアムがあります。
今回は軍艦島デジタルミュージアムの概要と魅力をご紹介していきます。
目次
軍艦島ってどんなところ?
「軍艦島」の名称で親しまれている端島(はしま)は、かつては炭鉱の島として栄えていました。人工の岩壁が島全体を囲っており、鉄筋コンクリートアパートが並ぶ姿がまるで軍艦「土佐」に似ていることから軍艦島と呼ばれるようになったそうです。
軍艦島では1800年代ごろに石炭が見つかり、後に三菱社が軍艦島全域と鉱山の権利を買収し、石炭が掘り起こされるようになったのが1890年のこと。石炭が発掘されると共に島は大きく成長し、1960年には5,267人の人口を誇っていました。当時にして世界一の人口密度だったということですから、いかに軍艦島が栄えていたかがわかります。
かつての端島には病院や学校、お寺や神社などが立ち並んでいたため何一つ不自由することはありませんでした。
軍艦島の石炭の質はとてもよく、すぐ近くにある「高島(たかしま)」の炭坑と一緒に栄えていました、主要エネルギーが石炭から石油へ変わるエネルギー革命によって、1974年に閉山、そして無人島となってしまいます。
2009年4月より一般人でも上陸ができるようになり、昔の建物を残す島内をめぐる軍艦島クルーズが始まりました。2015年7月5日には世界文化遺産に認定されて、知名度がさらに高まっています。
軍艦島デジタルミュージアム
軍艦島デジタルミュージアムは、最新のデジタル技術によって「軍艦島」を楽しめる施設。実際にどんな体験ができるのか見ていきましょう!
軍艦島デジタルミュージアムの概要
軍艦島デジタルミュージアムは2015年9月17日にオープンしました。
現代のデジタル技術をフル活用したミュージアムで、全盛期だった頃の軍艦島へタイムスリップした気持ちが味わえます!
かつて人口密度世界一を誇っていた軍艦島。
ミュージアム内では、現在、そして最盛期だった頃の軍艦島の様子がデジタル映像や写真などを用いて紹介されています。
上陸ツアーでは立ち入ることのできない区域を大きなスクリーンやプロジェクションマッピングで体感できるのも特徴です。
軍艦島デジタルミュージアムの魅力
軍艦島が閉山して37年が経過した平成21年より、軍艦島上陸ツアーが開始されました。
現在は廃墟となっている軍艦島の歴史を現地ガイドの解説とともに辿ることができます。
貴重な経験ですが、上陸ツアーで回ることができる場所は限られているのがネックです。
軍艦島デジタルミュージアムでは、上陸ツアーでは立ち入り禁止区域に設定されている場所でも最新のデジタル技術を使って体験することができます。
ミュージアムに足を運べば、VR=仮想現実の技術で再現された軍艦島をいつでも体験できるのが魅力です。
実際のクルーズでは、悪天候に見舞われた場合には島に上陸できないことも。
しかし軍艦島デジタルミュージアムは、天気に左右されることなくいつでも軍艦島の魅力を体験できます。
施設案内
営業時間 | 9:00~17:00(最終入館16:30) |
休館日 | 不定休 |
入場料 | 一般 1,800円 中学生・高校生 1,300円 小学生 800円 幼児 500円 3歳未満 無料 |
住所 | 長崎県長崎市松が枝町5-6 |
長崎県在住の方は軍艦島デジタルミュージアムの入館料が50%OFFとなります。
軍艦島デジタルミュージアムへのアクセスは、路面電車の「大浦天主堂」電停下車の後、歩いて1分。
バスでお越しの方は、「長崎駅前南口」バス停(ホテルニュー長崎 向かい)から30番か40番の路線バスに乗車し、「グラバー園入口」バス停で下車してください。バス停から軍艦島デジタルミュージアムまでは徒歩30秒です。
軍艦島デジタルミュージアムの見どころ
出典:TripAdvisor
続いて気になる軍艦島デジタルミュージアムの展示物について紹介します。建物内の展示物やアクテビティを制覇しましょう!
見どころ1:軍艦島シンフォニー
軍艦島シンフォニーは、デジタル技術の一種であるプロジェクションマッピングを使用した展示物。全長30mにおよぶスクリーンに、およそ3,000枚の写真を映し出し全盛期の軍艦島を再現していて、軍艦島がいかに栄えていたかを視覚で感じられるゾーンです。
また、30分に1本上映されるスペシャルアニメーション・Amazing Hashimaもお見逃しなく!
見どころ2:(再現セット)軍艦島のアパートの暮らし
軍艦島に住む人々がどのような暮らしを送っていたのか知ることができるのが「再現セット 軍艦島のアパートの暮らし」。最盛期の頃の軍艦島には30棟以上のアパートが立ち並んでいました。
この再現セットは、当時(1950年代後半)の軍艦島で生活していた人の部屋を再現したもので、三種の神器と言われていたテレビ・洗濯機・冷蔵庫が備え付けてあることから、軍艦島の炭鉱に従事していた人たちの稼ぎが良かったことが見て取れます。
見どころ3:軍艦島VR
軍艦島VRでは、長崎軍艦島上陸ツアーで立入禁止区域になっている場所へ上陸体験ができます。
VRとは「Virtual Reality (ヴァーチャル・リアリティ)」の略で、映像の中の世界にいるような体験ができるデジタル技術のことです。
最近では遊園地でもVR体験を行える場所が多くなってきていますが、軍艦島デジタルミュージアムでも体験できます。
VRにプラスしてエアロバイクを使った「すすむVR」では、軍艦島の上空を飛ぶことも可能です!
見どころ4:軍艦島MR
軍艦島MRコーナーでは「MRホロレンズ」を使った体験もできます。
MRとは「mixed reality (ミックスド・リアリティ)」の略で、複合現実と訳され、ホロレンズは頭につけることでMRが体験できる装置のこと。この2つの掛け合わせによって、現実世界とバーチャル世界がミックスされた空間を肌で感じることができます。
軍艦島デジタルミュージアムをホロレンズをつけた状態で探検すると、軍艦島で暮らしている人たちや当時使われていた物たちが現実世界に浮かび上がるんです!
案内役を務めてくれるマスコットキャラクター「軍艦島のガンショーくん」と島内探検をしましょう。
見どころ5:元島民のインタビュー映像
日本で最も古い鉄筋コンクリート高層アパートとして知られる「30号棟」には、かつてたくさんの人が住んでいました。
軍艦島が閉山となる直前には、嘱託の職員や関連会社の人たちが暮らしていたと言います。
大正5年に建てられ、今では築100年を超える建築に当時どのように住んでいたのか、5人の元島民がインタビューに答えています。
見どころ6:寺田克也展
岡山県出身のイラストレーターである寺田克也氏は、2016年3月から7月にかけて、軍艦島を含む4つの島を「龍」に見立てて4枚の絵を制作しました。
4つの島とは長崎の池島・高島・端島・伊王島。なぜ龍なのかというと、4つの島のうちの池島に伝わる伝説に龍神のお話があるからです。
長崎では昔から豊漁を祈る神様として龍神を信仰する習わしがありました。
池島には龍神が住んでいたと言い伝えられており、龍が玉を追いかける「龍踊り(じゃおどり)」という踊りもあります。
軍艦島デジタルミュージアムのまとめ
いかがでしたか?軍艦島デジタルミュージアムの様々な魅力をご紹介しました。
皆さんはどの展示物に一番心を惹かれましたか?
軍艦島デジタルミュージアムでは絵画や映像を見るのはもちろん、最新のデジタル技術であるVR・MR体験なども楽しめます。
バーチャルと現実が交わる世界は、他ではなかなか体験できません。
軍艦島がいかに豊かな炭坑の島だったのかを現代でも体感できる魅力的なミュージアムです。
あなたも当時の軍艦島へタイムスリップしてみませんか?